安全保障入門 2011 2 20

書名 日本人が知らない日本の安全保障
著者 加藤 ジェームズ  マイコミ新書

 この本のタイトルは、実にユニークな題名となっています。
しかし、今までは、日本人は、日本の安全保障を知らなくてもよかったのです。
なぜならば、日本は軽武装で商売に専念し、
安全保障はアメリカに丸投げという状態が、長年続いていたからです。
 しかし、この心地よい状態が終わりを告げつつあるのに、
多くの日本人が気づき始めているでしょう。
度重なる朝鮮半島の危機、記憶に新しい尖閣諸島の問題、最近では北方領土の問題。
 北朝鮮は、いつの間にかミサイル大国になってしまいました。
さらに、今は、核兵器開発に邁進している状態です。
 中国は、数十年前まで、人海戦術が最大の攻撃手段と言われていました。
しかし、今や、中国軍は、米軍並みにハイテク化しています。
そして、北朝鮮と同じように、中国もミサイル大国になってしまいました。
さらに、中国は、歴史的には海禁政策を取っていましたが、
今や、こうした伝統を捨てて、大海軍を建設し、
積極的に海へ進出しようとしています。
 ロシアも、ソ連崩壊後の混乱で、
とても極東を顧みる余裕がなかったのですが、
原油高が、ロシアを復活させました。
その結果、極東を顧みる余裕ができたのです。
今後、極東の軍事力を拡大してくるかもしれません。
 このようにして、
日本人は、日本の安全保障を知る必要が出てきたのです。
 ただし、安全保障の本というと、
たいてい、専門用語が多く、事前知識が必要な本が多いのが現状となっています。
 しかし、この本は、大変わかりやく、平明に書かれています。
また、安全保障の各分野において、バランスよく書かれ、
広く浅く知ることができるという点で入門書としては最適だと思います。
 さて、日本の同盟国アメリカが気になるところでしょうか。
アメリカは、中東の戦いで深手を負いました。
さらに、チュニジアから始まった中東の混乱で、
再び大きな問題を抱える可能性があります。
つまり、ロシアには極東を顧みる余裕ができましたが、
アメリカには、極東を顧みる余裕がなくなるということです。
 また、経済的には、リーマン・ショックをはじめとする金融危機で、
大きな深手を負い、その傷が癒えるには、相当な時間を要します。
さらに、その傷を治す過程で、別の合併症を引き起こすはずです。
 かつて、アメリカは、鷲に姿を変えて世界を飛びました。
しかし、もはや、その翼には、亀裂が入っているのです。
 国連は、どうか。
日本にとって、国連とは、幻想に過ぎないのです。
国連は、イラク戦争をめぐって機能停止の状態になりました。
最近では、北朝鮮をめぐって、たびたび機能停止しています。
 そもそも、国連の加盟国を全部見渡せば、
独裁国家や強権国家が多いことに気づくでしょう。
だから、国連は、独裁国家や強権国家に対して弱腰にならざるを得ないと言えます。

国家百年の計 2011 2 5
 今、政府は、社会保障の議論、というよりも、
いかに増税するかという議論に夢中になっていますが、
そういう議論は、「財務省御用学者」と
「財務省御用政治家」に任せればよい話で、
政治家というものは、国家百年の計を考えるべきです。
 もっとも、「財務省御用政治家」以外の政治家、
つまり、独立系の政治家は、数が少ないかもしれません。
 民主党政権が発足してから、官僚依存が加速して、
小泉政権時代と比較すると、官僚依存の深化は明白なものがあります。
 さて、国家百年の計として考えるべきものは、いくつかありますが、
そのひとつとして、国防政策をどうするかというテーマがあります。
日本には三つの選択肢があります。
一 中国の属国となる。
二 フランスのような自主独立路線。
三 日米同盟の堅持・強化。
 菅政権は、三を選択したのでしょうが、
国家百年の計としては、三は選択肢としてありうるか疑問があります。
これは、一言で言えば、「すねかじり。親が元気なうちは可能」ということです。
 現代のローマ帝国であるアメリカの繁栄が、未来永劫続くとは思えないのです。
いつかアメリカが傾く時が来るということです。
だから、国家百年の計として考える時、三という選択肢はないと考えるべきです。
 このような長期戦略を考える場合、
日本は、フランスの国防政策を研究すべき時が来ていると思います。
 もちろん、永世中立国のスイスも研究対象となるでしょう。
スイスは、欧州において、
軍事力によって永世中立を貫いてきた歴史があります。
スイスは、徴兵制を採用しており、男性には兵役の義務があります。
多くの日本人は、スイスというと、観光国家を連想するでしょうが、
実は、スイスの国土には、至る所に軍事施設が存在します。
 さらに、イギリスの国防政策を研究することも、
日本にとって、有益なものとなるでしょう。
 くれぐれも、日本人の好きな「国連」という発想はしないように注意しましょう。
日本にとって、国連は、幻想に過ぎないでしょう。
国連軍は、中小の国は助けるでしょうが、
日本のような大国を助けることはしないでしょう。
 そもそも、国連は、イラク戦争をめぐって機能停止の状態になりました。
最近では、北朝鮮をめぐって、たびたび機能停止しています。
 国連の加盟国は、どんな国が多いか知っていますか。
加盟国を全部見渡せば、独裁国家や強権国家が多いことに気づくでしょう。
だから、国連は、独裁国家や強権国家に対して弱腰にならざるを得ないと言えます。






















































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